サヨナラのために
偽りの幸せな夢から覚めてしまえば、やっぱり私たちの間には大きな超えられない壁がある。
「肉じゃが〜♪」
嬉しそうに歌う誠也。
きっと、サヨナラが近づいてる。
なんとなく、だけど。
でも、わかる。ううん、確信してる。
「「いただきます」」
あと何回、こんな風に一緒にご飯を食べれるかな。
「なー美羽、今週末に公開する映画知ってる?今日佐々木さんが教えてくれたんだけどさー、めっちゃ面白そうなの」
「しらない、どんなの?」
「美羽が絶対好きそうなやつ。みにいこうよ」
「…佐々木さんは、誠也と見たいと思うけどなあ」
「俺は、美羽と見たいなって思ったけど」
…バカ
なんでそういうこというの?
平然と言うあなたの言葉に、私は現実を突きつけられる。
どんなに切ろうと思っても、どこまでいっても、私たちはやっぱり幼馴染なんだって。
あの日の、誠也の苦しそうな顔が、頭から離れない。
関係を壊すことを望んでいるのは、私だけだった。
それは、今でもそうなんだね。
だから、私たちの想いが交わることは、絶対にない。