サヨナラのために


「ちょっと、ダラダラして暇なの?」


掃除機をかけるお母さんに白い目を向けられて、私はソファから起き上がる。


「…無気力なの」


「はあ?なに言ってんだか。明日、試合行くんでしょ?せいちゃんの。なんか差し入れとか作んないわけ?」


「お母さん、どんだけ来るか知ってる?女の子たちが。捌き切れなくて大変なんだよ」


いろんな想いが詰まった差し入れを受け取る誠也は、どんな気持ちなんだろう。


「へえ、じゃああんたは手ぶらで行くの?せいちゃんは今も練習で頑張ってるのに?暇そうにダラダラしてるあんたは…」


「もー!わかったわよ!作るから!」


居心地が悪くなって私はリビングを出る。


…作ったところで、どんな顔して渡せばいいかわかんないよ。

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