サヨナラのために
「って、結局作っちゃったよ…」
持つ紙袋がなんだかすごく重たく感じる。
練習試合が行われるグラウンドに行くと、案の定すごい数の女の子たちで…
本当に練習試合?ってレベル。
女の子たちの手には色とりどりの袋。
私は自分の可愛げのない無地の紙袋を見て、早々に後悔していた。
「しかも、おにぎりって…」
なに作っていいか分からなかったからって、流石におにぎりはないよね…
私は紙袋を自分の後ろ側に隠すようにして、女の子たちの群れの後ろの方に立つ。
「岡本先輩!頑張ってください!」
「誠也くーん!」
黄色い声を聞きながら、誰よりも大きな、強い声で、心の中で叫ぶ。
頑張れ、誠也。
汗だくで、真剣な眼差しで走る誠也を見つめて、私はぎゅっと紙袋を握りしめる。
頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ…