サヨナラのために


「ありがとうございましたー!」


選手たちの声を合図に、女の子たちがわらわらとグラウンドに寄っていく。


私もふー、と息を吐き出して、そこで自分が緊張していたことを知る。


この前の試合では負けちゃってすごく悔しそうにしていた相手に、今日は勝つことができた。


チームメイトと笑い合う誠也を見て、胸がキュッと締め付けられる。


…見にこれて、よかった。


おにぎりは、あとで自分で食べよう。


私は背を向けて、なるべく誰にも見られないように足早にその場を去った。

< 37 / 153 >

この作品をシェア

pagetop