サヨナラのために
「ありがとうございましたー!」
選手たちの声を合図に、女の子たちがわらわらとグラウンドに寄っていく。
私もふー、と息を吐き出して、そこで自分が緊張していたことを知る。
この前の試合では負けちゃってすごく悔しそうにしていた相手に、今日は勝つことができた。
チームメイトと笑い合う誠也を見て、胸がキュッと締め付けられる。
…見にこれて、よかった。
おにぎりは、あとで自分で食べよう。
私は背を向けて、なるべく誰にも見られないように足早にその場を去った。