サヨナラのために
無機質なアラームの音に、私は重い瞼をゆっくりと開ける。
一筋の雫が頬を濡らして枕に溶け込む。
となりにあったはずの温もりは、もうすっかり消えていた。
「…久しぶりにみた」
つぶやいて、ゆっくり身体を起こす。
夜中に降ったのか、雨の匂いがする。
肌寒いことに気づいて、私は床に脱いだままになっていた服を手に取る。
携帯のディスプレイを見て、時間を確認する。
7時半。
今日は朝練って言ってたっけ。