サヨナラのために


「美羽〜!」


能天気な声が飛んでくる。


隣で、佐々木さんが急いでノートを隠す。


「あれ!佐々木さんもいる〜」


ニコニコと太陽みたいな笑顔で近づいて来たのは、誠也だった。


「…めんどくさいのが来た」


「おい、美羽、聞こえてんぞ」


ああ、早くこの場から逃げたい。


「おいっ誠也!急にどっか行くなよ」


誠也と同じクラスの男の子が、後ろから走ってくる。


「わり!美羽見つけてさ〜」


肩を組まれ、誠也の匂いが鼻をかすめる。


ここからだと見えない佐々木さんの表情が気になる。

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