サヨナラのために
その日の夜、佐々木さんからメッセージが送られてきた。
『今日はありがとうございました!先輩のアドバイスをもとに、岡本先輩に喜んでもらえる差し入れを作って渡そうと思います!
神野先輩が岡本先輩の幼馴染で、本当に心強いです!』
頑張ってね
そう返信して、私は胸の中の黒い塊を吐き出すようにため息をつく。
「…思っても、ないくせにね」
自嘲気味に笑う。
いくら好きな物を知っていたって、癖を知っていたって、なんの意味もない。
「…幼なじみなんかじゃなきゃよかったのに」
何度目かわからない呟きを漏らす。
こんなこと言ったら、きっと誠也は怒るんだろうね。
美羽のこと好きだ、大切だ、なんて、真剣に語られるそれは異性への愛じゃない。
…ああ、なんて、惨めなんだろう。