サヨナラのために




「ねえ、調子乗ってるでしょ」


冷たい声がして、廊下が一斉に静かになった。


移動教室をしようと廊下に出た私は、声のする方に足を向ける。


休み時間だから、普通に生徒はいる。


でも、みんな見て見ぬふり。ちらりと目線を投げかけて、やばくない?とひそひそ話す。


階段の踊り場の隅で、泣きながら俯いていたのは、佐々木さんだった。


囲んでいるのは、うちの学年の誠也ファン。

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