サヨナラのために
「えっと、どうかな、神野さん」
前に立つ委員長が困った様子でわたしに目をやる。
声を上げたのは誠也ファンの過激派の人たちで、クラスの中でも目立つし、逆らえる人は少ない。
他のみんなも萎縮して俯いてしまっている。
ため息が出そうなのを堪えて、「いいよ」と私は答えた。
あからさまにホッとした様子の委員長と、少し面白くなさそうな過激派たち。
ここで断ったり、嫌な顔をした方が面倒なことになる。
この前、余計なこと言ったことの仕返しだろうな。