サヨナラのために


「すっごいじゃん!看板任されるとか、英雄じゃん!」


目をキラキラさせて私をみてくる誠也から、顔を背ける。


ほんと、呑気だよね。


「そういうんじゃないよ。とりあえずそういうことだから、しばらく帰れない」


「部活終わった後待ってるから大丈夫」


ニコニコしながらそう言う誠也に、私はため息をつく。


「ダメ!」


強く言い放って、教室に戻ろうとした私を、誠也は逃してくれなかった。


「美羽、冷たい」


「ちょっ…」


後ろから伸びてきた両手は、お腹の前でしっかり組まれている。肩に乗せられた顔も、声も、近い。


「ばか、なにすんのっ」


周りの視線が痛い。


「一緒に帰る〜」


「大きい声出すなっ!」


あーもう!

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