サヨナラのために
…当たってる、けど。
「…違います、私はこれが食べたい」
そう言って隣のチョコレートのアイスを指さした。
「えっ嘘だ!絶対嘘!」
必死になってそう言い張る誠也が、なんだか面白くて。
…かわいくて。
「ふっ…本当だもん」
ずっと、こんな風にいれたらいいのに。
そんな夢を、抱きそうになる。
店員さんに注文して、お店の前のベンチに座った。
「誠也は何にしたの?」
「俺は、これ」
誠也の手にあったのは、私が食べたかったさくらんぼのアイス。
「なんで…」
「んー?俺が食べたかったから。美羽もいるでしょ?」
…ほんと、誠也はばかだな。