サヨナラのために
「…誠也が食べて欲しいって言うなら、食べてあげなくもないよ?」
「ははっ…はいはい、どうぞ」
こんなひねくれた私を扱えるのは、多分誠也だけ。
こんなに私を喜ばせるのも、ドキドキさせるのも、苦しくさせるのも、誠也だけ。
この先ずっと、どんな人に会っても、私が好きなのは、誠也だけ。
でもこの先どれだけ一緒にいても、誠也にとってわたしは幼なじみで、家族みたいな存在。
もう少しだけ。
もう少しだけ、このままでいたい。
受け入れるから、ちゃんと。
ちゃんと、手放すから。
だからもう少しだけ、隣にいさせて。