サヨナラのために
社交辞令だと思った先輩の言葉はどうやら本心だったらしく、それから毎日放課後になると先輩は教室に来た。
「先輩、自分のクラスはいいんですか?」
「うん?どこかのクラスと違って協調性があるからね」
「…協調性がないのは私ですよ」
確かに誰も来ないけど、他の子たちは看板以外の仕事を割り振ってやっている。
私も結局自分から声をかけることはしないから、状況が変わらないんだ。
「で、幼なじみ君とはどうなの?」
ニヤついてそう言う先輩に、私はため息をつく。
「どうもこうもありません。これのせいで最近会ってません」
朝は、わざと遅く出ている。
佐々木さんに、誠也と一緒に登校したいと相談されたから、誠也の出る時間をこっそり教えた。
これでいい。
こうやって、ちょっとずつ一緒にいる時間を減らさなきゃ。
ずっと一緒になんて、いられないんだから。