サヨナラのために



私は、どうしようもなく。



どうしようもなく、この人が愛しい。



どこにもいかないで。



ずっと、そばにいて。


大好きなの。


誠也、あなたのことが、




本当に、大好きなの。



「誠也、もっと触りたい」


私は誠也から体を離して、誠也の目をじっと見つめる。


誠也が、足りないの。   


「…美羽、きて」


少しだけ強い力で腕を引かれて、私たちは渡り廊下を後にした。

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