サヨナラのために


資料室に入るなり、誠也は私の首筋に噛み付いた。


「っ…せ、いや?」


「美羽が、煽るから」


息が、熱い。


「…怒ってるの?」


私の言葉に、誠也は優しく私を抱きしめる。


「…怒ってないよ」


ちゅ、ちゅ、と音がして、髪に幾度もキスが落とされる。


「…俺のこと避けてたから、嫌われたかと思った」


そんなわけない。


誠也を嫌いになるなんて、死んでも、あり得ない。


言葉にできなくて、ごめんなさい。


ずるくて、ごめん。


代わりに私は誠也のシャツのボタンを外して、胸元に何度もキスをする。


「…っ、み、う」


荒くなる誠也の呼吸に、下腹部がキュンとする。


こんな誠也、他の人に見せたくないなんて。



自分勝手な独占欲。


神様、今日だけ許してください。


鎖骨に、首に、キスを落とす。


「っ、美羽、かわいすぎ…」


心臓が、破裂しそう。


誠也の言うかわいいも、今日だけは都合よく受け取ってもいいかな?

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