夏の虫
深夜2時
日付が変わるまで絡まっていた二人も、今は静かに寝息を立てている
濃厚な情交の匂いにほのかなアルコールの香りが混じり合って部屋に充満している中、私はそっと彼の上に降りたった
――うん、これはなかなかいい年代のワインね
どうやら彼は、今夜のために相当張り込んだらしい
私はどこへも連れて行ってもらったことなど無いのに
多分今は、一緒に寝ているこの女が本命
ううん、最初から分かっていたこと
そして彼ももう限界だったのだ
そろそろ潮時ってことなんだろう
しかたがない
私も今夜を最後にこの部屋を出よう
産み月も近いことだし、うん、いいきっかけかもしれない