オリオン座の恋人
それは、あの荘厳なイメージとはかけ離れた、まるで子供のようなはしゃぎ方で。
こいつって、こんなに無邪気なところもあるんだ。

そんな発見をした私は何だか体の奥からむず痒くなって……

「あはは……あはははは!」

思わず、お腹を抱えて大笑いしてしまった。

「どうした? 気でも触れたか?」

笑い転げる私を見るオリオンは怪訝な顔を浮かべたけれど……彼のそんな様子がまた、私のツボにはまって。
厳しくて堅い人のイメージが崩れるのって、こんなにも笑えることなんだ。お腹を抱えて笑い転げるなんて、久しぶり……というか、生まれて初めてのことかも知れなかった。


それからの釣りは楽しくって仕方がなかった。だって、釣れる度にオリオンはまるで子供みたいにはしゃいで……昨日の怖いイメージとのギャップに、私はひたすらにウケていた。
そして気が付いたら日が暮れかけていて……私達は十匹くらいも大物を釣り上げていたのだった。

「こんなに、捕えられるものなんだな」

オリオンはそれらの魚を一本の紐に結びながら呟いた。

「ええ。ホント、大漁よね」

私もこんなにも釣れるとは思っていなかった。
釣りなんてほとんどしたこともなかったし……それに正直なところ、出来合いのあんな仕掛けだったし。オリオンに教えはしたものの、自信は全くなかったのだ。
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