オリオン座の恋人



「お腹……空いたなぁ」

もうそろそろお昼。
燻製にしていた肉は朝に全部、オリオンが食べ尽くしてしまったし。数少ない木の実を齧りながら、私はぶつくさ呟いていた。

全く……あいつ、私を女だと思ってない。食べ物を取り上げられるし、今まで男からこんな仕打ちを受けたことはなかった。

だけど……私はふと、考える。
今まで私が、男からされてきた扱いって?
誰も彼も、私のご機嫌を伺って、変に優しくしてきて。
だけど、そいつらの考えていることなんて……ただ、一つ。私と付き合って、あわよくばヤリたいって。それだけだった。

そんな男達に比べたら、オリオンは全ての言動に嘘はないし正直だ。最初は怖くて何考えてるか分からなかったけれど、実のところはその言動の通りのことしか考えていない。一緒に暮らしていて、そのことはよく分かっていた。

だけれども一つだけ、よく分からないことがある。それは、私には全く興味もなさげなのに、私を置いてくれて、一緒に暮らしてくれていること。

まぁそりゃあ、いくら奴でも、異世界から来て怖がっている女子を無下に追い出す気にはならないのかも知れないけど。

そう言えば……私はアルテミスの言ってたことを思い出した。
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