オリオン座の恋人
上機嫌でその猪を担ぎ、帰ろうとしていた時だった。
「おーい、そこの狩人さん。酒を一杯、飲んで行かんかね?」
オリオンは、大きな酒樽が置かれた小屋の、白髪の老人に呼び止められた。
普段なら少しは怪しむところであるが、その日は大物を二頭も射止めたことで、オリオンの気分は高揚していた。それに丁度、喉も渇いており、体が酒を欲していた頃合いだったのだ。
「一人で飲む酒は、寂しいでのぅ。お前さんのような、逞しい狩人さんが一緒に飲んでくれたら、嬉しいでなぁ」
その白髪の老人は、オリオンにとっても悪い人には見えず……老人の言葉に甘え、その小屋に厄介になったのだった。
小屋で酒を飲むオリオンは、初対面のその老人と珍しく話が弾んだ。普段は初対面の人間とは言葉を交わすことなど殆どないのに、その老人には洗いざらい色々なことを話せて、酒も進んだ。
それは、オリオンの機嫌が良く、酒も入り饒舌になっていたこともあるが……
実はその老人の、人心を掌握する能力によるものだったのだ。
オリオンは気付かなかった。
その老人こそ、ディオニュシオス。瞳を邪悪に黒光りさせた、アポロンの刺客だということに。
酒に泥酔したオリオンが寝ついた途端に、ディオニュシオスはその本性を現した。彼は、あろうことか……オリオンの両眼を抉り取り、盲目にしてしまったのである。
「おーい、そこの狩人さん。酒を一杯、飲んで行かんかね?」
オリオンは、大きな酒樽が置かれた小屋の、白髪の老人に呼び止められた。
普段なら少しは怪しむところであるが、その日は大物を二頭も射止めたことで、オリオンの気分は高揚していた。それに丁度、喉も渇いており、体が酒を欲していた頃合いだったのだ。
「一人で飲む酒は、寂しいでのぅ。お前さんのような、逞しい狩人さんが一緒に飲んでくれたら、嬉しいでなぁ」
その白髪の老人は、オリオンにとっても悪い人には見えず……老人の言葉に甘え、その小屋に厄介になったのだった。
小屋で酒を飲むオリオンは、初対面のその老人と珍しく話が弾んだ。普段は初対面の人間とは言葉を交わすことなど殆どないのに、その老人には洗いざらい色々なことを話せて、酒も進んだ。
それは、オリオンの機嫌が良く、酒も入り饒舌になっていたこともあるが……
実はその老人の、人心を掌握する能力によるものだったのだ。
オリオンは気付かなかった。
その老人こそ、ディオニュシオス。瞳を邪悪に黒光りさせた、アポロンの刺客だということに。
酒に泥酔したオリオンが寝ついた途端に、ディオニュシオスはその本性を現した。彼は、あろうことか……オリオンの両眼を抉り取り、盲目にしてしまったのである。