オリオン座の恋人
しかし……

「おらおら、待てよ!」

金髪の男に追いつかれ、羽交い締めにされた。
命からがら走ったところで、私は裸足。
追ってくる男から逃げ延びられるわけがなかった。

「こいつ、手をかけさせやがって」

「でも、いいぜぇ、このシチュ。俺、山奥で女をヤッてみたかったんだよ」

「嫌よ、いやぁ!」

私は最後の力を振り絞って全力で暴れた。
しかし、男達の力に敵うはずもなく、押し倒される。
ニヤァと笑った金髪の男が私の敏感な部分に手を伸ばす……。

「いてぇ!」

男は両手で顔を押さえた。
私がこいつの顔を蹴り上げたのだ。

「このアマァ!」

でこを押さえたそいつは鬼の形相で睨んできた。

私も睨む。
目に精一杯の力を込めて……。

(絶対に屈さない。たとえ、命を奪われても……)

しかし、そいつは……両手で私の首を掴み、思い切り力を入れたのだ。

ギリ、ギリ……。

首が締まる音が脳内に響く。

(苦しい……)

そんなことを思う間もなく、私の意識は遠のいてゆく。

(私、死ぬのね……)

不思議と悲しみはなかった。
ただ、私の頭の中にある言葉……もうすっかり忘れていたある言葉が蘇った。

「星奈は絶対にお星様になろうなんて思ったらいけないよ」

その瞬間。
北の空でオリオン座の七つの星が煌々と光り輝いたのだった。
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