オリオン座の恋人
すると、ガイアは目を丸くした。
「おや、それは何と。命の恩人に向かって随分な言い様ですね」
「命の恩人? 人に槍を投げておきながら……」
「その槍が貫いているものを見て下さい」
「はぁ、貫いているもの?」
私は眉をひそめて、また槍の方を見た。
すると……
「うそっ! 何よ、これ?」
一瞬、本当に何なのか分からなかった。黒光りするその生き物は長い尾を持っていて、だがしかし、槍に貫かれてピクピクと動いていて。
「サ……サソリ!?」
あまりに大きなそれに、私は身の毛のよだつ想いがした。
「そう。僕が槍を放っていなかったら、あなたは刺されて亡くなっていましたよ」
「そんな……」
こんなものが、私を狙って?
いや、それよりも何よりも。私はサソリという言葉にひどく聞き覚えがあった。
そう……オリオンの死因の一説。
奢り高ぶったオリオンが吐いた言葉に激怒した神はサソリを放ち、彼はそれに刺されて亡くなった。
そんな説を思い出して……私は自分自身がサソリに狙われていたことよりも、恐ろしくなって。体が小刻みに、ガタガタと震え始めた。
「おや、それは何と。命の恩人に向かって随分な言い様ですね」
「命の恩人? 人に槍を投げておきながら……」
「その槍が貫いているものを見て下さい」
「はぁ、貫いているもの?」
私は眉をひそめて、また槍の方を見た。
すると……
「うそっ! 何よ、これ?」
一瞬、本当に何なのか分からなかった。黒光りするその生き物は長い尾を持っていて、だがしかし、槍に貫かれてピクピクと動いていて。
「サ……サソリ!?」
あまりに大きなそれに、私は身の毛のよだつ想いがした。
「そう。僕が槍を放っていなかったら、あなたは刺されて亡くなっていましたよ」
「そんな……」
こんなものが、私を狙って?
いや、それよりも何よりも。私はサソリという言葉にひどく聞き覚えがあった。
そう……オリオンの死因の一説。
奢り高ぶったオリオンが吐いた言葉に激怒した神はサソリを放ち、彼はそれに刺されて亡くなった。
そんな説を思い出して……私は自分自身がサソリに狙われていたことよりも、恐ろしくなって。体が小刻みに、ガタガタと震え始めた。