オリオン座の恋人
お気に入りの青いドレスには木の枝が突き刺さってボロボロになり、足も草や石で傷だらけ。だけれども、私はそんなことも顧みずに彼を探した。

「どうしたんです?」

状況を掴めていないガイアに、私は苛立つ。

「危ないのよ……オリオンが。私の愛しい彼が……」

口からは自然に、「愛しい」なんて言葉が出た。しかし、そんなことにも気付かずに、私は彼を探した。

「どこ……どこなの? オリオン……オリオン!」

どのくらい探しただろう……私は、獲物を持って歩く彼を見つけた。

「いた! 良かった……オリオン〜!」

私はオリオンの元へ駆けて……思わず彼を抱き締めた。

「何だ、セナ。どうしたんだ?」

オリオンは少し赤くなり、とまどう。しかし、私は彼をさらに強く抱き締めずにはいられなかった。

「良かった、生きてて。あなたがいなくなったら、私、どうしたら……」

私の中にはあの日の記憶がフラッシュバックした。
そう……お父さんが倒れて、二度と戻って来なかったあの日。そんな記憶は私の胸を激しく締め付けて、私の瞳からは熱い涙が流れ出した。
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