オリオン座の恋人



「いい? オリオン。あなたはサソリに刺されて、星座になってしまう。そんな悲しい運命にあるの」

「何を馬鹿なことを言っているのだ、お前は?」

「だから!」

何回話しても理解してもらえない。そんなもどかしさに私は苛立ちを感じ、溜息を吐いた。

こっちはこんなに心配しているのに、全然、信じてもらえない。
そりゃあまぁ、信じろ……という方が無理な話かも知れないけど。でもこっちがこんなに真剣に話しているんだし、少しくらい耳を傾けてくれてもいいじゃない。

「それに、もしお前の言う通り大きなサソリが狙っているのだとしたら、ガイアという者がいよいよ怪しいぞ」

「何よ、それ。どういう意味?」

「それほどに大きなサソリは、サソリ使いの言うことしか聞かぬ。だから、お前が狙われた時、一番近くにいた奴が一番、怪しいのだ」

「あぁもう。嫉妬はいいから、オリオン。あなたはあなたの身の安全を考えてよ」

私の目には思わず涙が浮かぶ。

「今日から私……やっぱり、あなたの狩りに付いて行くわ」

「何?」

「だって……心配なんだもの」

オリオンにとっては、私なんかが付いて行ってもやっぱり足手まといなだけだろう。
でも……どうしても私には、彼を一人で行かせることなんてできなかった。
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