オリオン座の恋人
その瞬間……私の体は反射的に飛び出した。

「セナ!」

オリオンの叫び声が聞こえた。
しかし……私の背中には鋭利な痛みが走った。その痛みはジーンと体中に広がり、みるみるうちに私の体は痺れて、感覚がなくなっていった。

「セナ! セナ!!」

オリオンの声が聞こえる……しかし、私の耳に入るそれはどんどんと薄く、小さくなってゆく。
目が霞み、痛みは薄れて。感覚をみるみる失い……私の体が私のものではなくなってゆく。

だけれども、そんな私の体をしっかりと抱きしめる……温かい。すごく温かい体温が必死で私を連れ戻そうとする……。
< 68 / 101 >

この作品をシェア

pagetop