オリオン座の恋人
沈黙を保っていると、ガイアは少し眉を下げて寂しそうな顔をした。

「セナ。僕じゃ……ダメかな?」

「えっ……」

「だって……こんなに頑張って看病しているんだし。僕のことを好きになってくれたりとか……」

そんな彼を見て……私は思わず吹き出した。それは、目の前のこの美青年が思いの他、子供だったから。

「セナ?」

「ごめん。看病してくれるのはとっても嬉しいし……すっごく感謝もしてる。でも、好きって感情は何かをしてもらったら生まれるようなものでもないのよ」

「じゃあ……どうしたら。どうしたら、好きになってもらえるの?」

「それは……」

私は目の前の駄々っ子を見て、にっこりと笑った。

「あなたも。誰かのことを本気で好きになったら分かるわよ」

すると、ガイアは何とも言えず寂しそうな顔をして、立ち上がった。

「ガイア?」

「セナ。今日……会いに行こう」

「えっ?」

「オリオンに。だって……どうしても会いたいんだろ?」

「ホント!?」

オリオンに会えることはとても嬉しかったけれど……ガイアはやっぱり寂しそうで。私は彼のそんな様子が気になった。
< 73 / 101 >

この作品をシェア

pagetop