オリオン座の恋人
私はその声の主を見て……

「オリオン！」

そう。それはオリオン……だけれども、様子がどこかおかしかった。
目には激しく憎悪の炎をメラメラと燃やし、見ただけで身震いがするほどの……猛獣のような表情だったのだ。

そんな彼にガイアは不敵な笑みを浮かべた。

「随分な言いようですね。僕はサソリに刺されたセナさんを救って……」

「そのサソリを放ったのも、貴様だろう！」

オリオンは鬼のような形相になった。

「えっ、サソリを放ったって、一体……」

「セナ。そいつはサソリ使いなんだ！」

「サソリ使い！？」

私は驚きのあまり茫然と、ガイアとオリオンの顔を交互に見た。すると、オリオンは憎々しげに声を荒げた。

「セナ。サソリはお前を刺して……そいつは瀕死のお前を治すと言って引き取った。だがな、調べてみるとそいつこそがサソリ使い。サソリ使いのガイアだったのだ」

「うそっ……」

私は思わずガイアの顔を見た。
すると、彼は不敵な笑みを崩さずに話し出した。

「ああ、そうさ。オリオン。お前を刺し殺すためにサソリを放って……この女が代わりに刺されて倒れた。だから、僕は作戦を変えて……この女を人質に、僕のテリトリーにお前を呼び出して、サソリの毒で始末する。そういうことにしたんだ」

「そんな……」

私の顔からは、サァっと血の気が引いた？
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