オリオン座の恋人



「アルテミス。今日も、ありがとう! 美味しいシチュー。ね、オリオンも! お礼、いいなよ」

「あ……ああ」

息を吹き返しても、オリオンは相変わらずだ。

「ああ、じゃなくて。お礼!」

「ああ……すまんな」

「いや、謝ってどうする? お礼を言えって言ってるの!」

「いいわよ、オリオン、セナさん。たくさん、召し上がれ」

アルテミスはやっぱり美しくて、輝くような笑顔を私達に見せてくる。
彼女は優しくて、綺麗で、温かくて……どこからどう見ても、素敵な女性で。だから、私は不安になる。

この前、オリオンとアルテミスの過去のことを聞いて……アルテミスはまだ、オリオンに想いを抱いているんだって思った。
そして、オリオンも……きっとまだ、アルテミスのことを想ってる。

だから、オリオンの恋人は……ずっと一緒にいる人は、アルテミスの方が幸せなんじゃないかな。
オリオンにとっても、アルテミスにとっても……そんな考えが、心の片隅に渦巻いて。まるで痼りのように、私の心を不安にさせるんだ。
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