オリオン座の恋人
「しばらくは、絶対安静」っていうアルテミスの言葉に忠実に、オリオンは朝食後、すぐにいびきをかきながら眠り始めた。
全く、こいつは生存本能に忠実だな……彼の幸せそうな寝顔に、私もつい、顔が綻ぶ。

だけれども、私の方は中々、寝付けなくって。ベッドから起き出して、アルテミスのもとへ戻った。



「あら、セナさん……」

アルテミスはお昼の準備をしながら、長い睫毛の目を細めて私ににっこりと微笑んでくれた。

「アルテミス……」

彼女はやっぱり、素敵な女性で。そのオーラにただただ、圧倒される。
アルテミスは、たじたじになっている私にテーブルにつくように促して、ハーブティーを運んでくれた。

「ありがとう……」

「どういたしまして」

アルテミスの碧い瞳に私は吸い込まれそうになる。そんな彼女の瞳をじっと見つめて。私は恐る恐る、ゆっくりと口を開いた。

「アルテミスって、まだ……」

「えっ?」

「まだ、オリオンのことが好きなの?」

言ってしまった後で後悔した。
私……何を聞いているんだろう?
彼女はあの時、教えてくれたのに。どれだけ好きでも、その恋は許されない。そんな、悲しい恋なんだって。
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