恋愛なんて、するはずない。
「霧島しゅうかさんについてなんだけど…」
「…霧島さんね。」
藍ちゃんは私が聞きたいことを察したようだった。
「彼女、前まで花園さんたちにいじめられていなかった?
でも、今一緒にいて…それについて何か知ってるかなって思ったんだけど…。」
「知ってるよ。
あたしの情報収集能力、すごいんだから。
実はね…」
そう言って愛ちゃんは説明を始める。
それは先月のことらしい。
いつものように霧島さんはいじめのターゲットだった。
でも、ある日伊集院さんがある提案をだした。
その内容が、こうだ。
「霧島、地味だから私たちのそばに置いたら私たちが目立てるんじゃない?
それにさ、雑用とか押し付けとかにも使えそうだし。
どう?もういじめられるの嫌でしょ?
あんたがこっちにはいったらもういじめられずにすむわよ?」
なんていう、馬鹿げた提案だ。
簡単に言うと自分の下につけば、もういじめないでやるとのことだろう。
そして、霧島さんはもう耐えきれなかったのかその提案に乗ったのだ。
だから、一緒にいても霧島さんだけ少し怯えたようにしていて、私を見る目もすごく悲しそうな目で出来るだけ見ないようにしてたんだ…。
「って、こんな話はもうやめよ!
食事がまずくなっちゃう。
もしかして、何かあったの?」
「その、ちょっと気になって…
霧島さんだけなんか違ったので。」
「そう。」
藍ちゃんはそう言って私達は再び昼食を食べ始めた。
「ごちそうさまっっ!
それじゃ、次の授業行こっか。
えっと…音楽だったよね。
それと、敬語じゃなくていいよ〜
まだたまに敬語なんだから!」
敬語…
「は、はい…じゃなくて、うん。」
そして私達は音楽室に向かった。
音楽室まで他愛もない話をした。
こんなに話したのは本当に久しぶりだし、敬語じゃないからかすごく変な感じがする。