恋愛なんて、するはずない。
「御園がいたいだけ一緒にいてやる。



仮にも"恋人"なんだからな。」



"恋人"と言う言葉についドキンとしてしまう。



このまま雨ケ谷君のことを好きになってしまいそうだ。



でも、これは仮だ。



雨ケ谷君の方もきっと本気じゃないだろうし。



私のトラウマが治るまでの付き合い。



治ったら、さよならだ。



いつものように図書室で見かけることも無くなるのかな?



それとも、図書室には来るのかな?



雨ケ谷君の心の中がわからない。



すごく、知りたいし気になる。



しばらく無言で私は雨ケ谷君にもたれかかっていた。



こういう所を見るとやっぱり"付き合ってる"ととらえられるだろう。



「…ありがとう。



落ち着いた。



あれこれいきなり質問されてやっぱりなれなかったみたいで…



そろそろ授業始まっちゃうし、戻ろうか?」



そう言って私は立ち上がる。



「あぁ、そうだな。



落ち着いたならよかった。



俺としてもおまえとこんな近くに入れて嬉しかったしな。」



そんなことを言って二カッと笑う。



…雨ケ谷君もこんなふうに笑うんだ。



もっと、みたいな。



雨ケ谷君のいろんな表情を…。



なんて、言えるわけないけど。



私と雨ケ谷君は教室前で別れて、私は教室に戻る。



もうすぐ授業が始まるからかみんな席に着いている。



そして、そのまま授業が始まる。



いつもと違って周りが明るく見える。



これも、雨ケ谷君のおかげなのかな?



──なんてね。

















「ねぇねぇ、今度あたしとダブルデートとかしない?」



授業が終わるなりよってきたのは、久莉栖 藍(クリス アイ)だった。



彼女は男子からもモテてノリも良く、女子にも人気。



噂では他校に彼氏がいるらしい。



「えっと、、、」



これはOKしてしまっていいのかな?



でも、雨ケ谷君にちゃんと聞かないと…



それに、付き合ってるって言っても仮なんだし、デートなんてめんどくさいだけだし、うざいよね…



「雨ケ谷君にも聞いてみないと…」



私がそう言うと、久莉栖さんは「それなら大丈夫!」と親指を立ててグッとやった。



「雨ケ谷君にはすでに許可をもらってるわ!



あとは御園さんが良ければなの。」



雨ケ谷君にはもう許可を取っている…?



いつ?



そんな時間あった?



ついさっきまで私は雨ケ谷君といた。



それに、今は授業が終わってすぐ。



「そ、それはいつとったの?」



「今朝だけど?



みんなが御園さんに質問ぜめでさ、あたし暇だったから…



あんなに大勢いたらムリムリ。」



そう言って笑う久莉栖さん。



思いついたらすぐに行動するタイプなのね。



私は久莉栖さんの人気の秘訣少しわかった気がした。



明るくて、愛想も良くて、フランクで話しやすい。



私とは正反対だ。



いちいち愛想を振りまくことなんてない、なにより大勢に囲まれることなんてないもの。



「それなら…いいですよ。」



二人っきりより、同性の人もあ一緒の方安心できるしね。




さすがに雨ケ谷君と二人っきりのデートは緊張しすぎそうだもの…




「やったぁー!



あっ、そうそう御園さんどこ行きたい?



あたしは候補に水族館とかや動物園と遊園地をあげてるの。



やっぱデートと行ったらこーゆーとこじゃない?」



そういうものなのか…



私はデートに関して、全くわからないな。




そもそも恋愛が、だけど。



「私は…、別にどこでもいいよ。」



正直な意見だった。



だって、どこがいいなんてわからないし、そんなもの私には無い。



「んー、どこがいいかなー。」


そう言って久莉栖さんはスマホを取り出し、いじりはじめる。



「…あっ、ここはどう?



遊園地と水族館がお隣だから、、どっちも行ける!」



「へぇー、いいんじゃないかな?」



「よぉーし、んじゃ、ここで決定!



今週の日曜日、7時に駅で集合ね!!」



そう言って、楽しそうにスキップしながら去っていった。



こんなふうに、誰かと話すなんてすごく久しぶりだ。



すると、久莉栖さんと入れ替わりに3人組の女子がやってきた。



「茜ちゃん、ちょぉ〜っとだけ付き合ってくれる?」



ひた真っ先に口を開いた左側にいる少女。



そしてそのまま両手を顎に持っていきキュルンとぶりっポーズをとる。



えっと…、誰だっけ?



…思い出せない。



「あっ、名前一応言った方がいいよね、あたしとしたことがぁ〜てへ♡



あたしは花園 美麗亜(ハナゾノ ミリア)。



それで、1番右側の子がー」



「…霧島 しゅうか(キリシマ シュウカ)。」



「あっ、きりちゃんってばぁ〜、あたしが言おうとしていたのに!ぷんぷん」



「…ごめん、なさい。」



そう言って霧島さんは俯く。



「それで、この私が伊集院 愛里菜(イジュウイン エリナ)
よ。」



真ん中の女の子がな胸を張っ名乗る。



そうだ、思い出した。



彼女達このクラスの中心人物で、伊集院さんはた女王タイプで自己中心人で、苦手だ。



周りの子も苦手らしいけど、家がたお金持だから、とかさからったら怖いとかでみんないやいや従っている。



そしてふ左側ぶりっ子は、とにかくしキャピキャピている。



学校中の男子を虜にしている。



それに、制服も勝手にフリをつけているし、スカーだって下着が見えるかどスレスレの長さ。



男子はそれに興奮して謎のファンクラブまで出来ている。



そのせいか、女子はみんな嫌っている。



「彼氏を取られた」とよく聞く。



でも、それを責めたりしようとしても、たくさんの男子生徒が味方についている以上みんなて敵にできないのだろう。



モテ度は久莉栖さんといい勝負だろう。



まぁ久莉栖さんは、そんなこと全くしてないけど。



そしては右側の子…



いままでこのた2人だったのにどうしたのだろうか。



1人だけなんというか…大分キャラ薄い。



そういえば、去年いじめられていた…?



なんとなくの記憶だけど、もしそうだったらなんでいじめてた側についているのだろうか。



霧島さんについては疑問がいっぱいだ。



「ほら、茜ちゃん、行こ行こ〜」



そう言って強制的に腕を引っ張られる。



「あの、まって、ちょっ…」



後ろから伊集院さんにも押されどうしようもなく従うことにした。





















< 8 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop