極上蜜夜~一夜の過ちから始める契約結婚~
少年少女のスリ集団にバッグをひったくられてから、一時間後。
私はもちろん、藁にも縋る思いで日本大使館に駆け込んだ。
ここが大使館だと知らずに来たら、なにかの美術館と間違えそうな建物だと思った。
外観はちょっとレトロな石造りで、あちこちで見かける歴史建造物にも負けない、深い趣が漂ってくる。
日本の区役所なんかとは全然違う。
いくら、異国で途方に暮れている日本人でも、誰でもウェルカム状態で開放されているわけじゃない。
門は鉄柵でしっかりと閉められていて、イタリア人の警備員に来館目的を説明しなければ、開けてもらえない。
イタリア語はおろか、英語ですらまともな会話にはならない。
それでも、荷物も持たずにしどろもどろでオロオロしている私の様子から、警備員は用件を察してくれたようで、中に通してくれた。
外から見ただけなら歴史的建造物でも、入館に際するセキュリティは二段階で相当厳重だ。
身分を証明するものも、誰かとの通信手段もない。
その上、無一文……。
今の私には、この厳しいセキュリティチェックも、私を振るい落とすための無情な関門のように思えてしまった。
あまりの心細さと不安でガタガタ震えながら、それでもなんとか領事部まで辿り着くことができた。
ここでもやっぱり、わかりやすい手続きカウンターのようなものはない。
私はもちろん、藁にも縋る思いで日本大使館に駆け込んだ。
ここが大使館だと知らずに来たら、なにかの美術館と間違えそうな建物だと思った。
外観はちょっとレトロな石造りで、あちこちで見かける歴史建造物にも負けない、深い趣が漂ってくる。
日本の区役所なんかとは全然違う。
いくら、異国で途方に暮れている日本人でも、誰でもウェルカム状態で開放されているわけじゃない。
門は鉄柵でしっかりと閉められていて、イタリア人の警備員に来館目的を説明しなければ、開けてもらえない。
イタリア語はおろか、英語ですらまともな会話にはならない。
それでも、荷物も持たずにしどろもどろでオロオロしている私の様子から、警備員は用件を察してくれたようで、中に通してくれた。
外から見ただけなら歴史的建造物でも、入館に際するセキュリティは二段階で相当厳重だ。
身分を証明するものも、誰かとの通信手段もない。
その上、無一文……。
今の私には、この厳しいセキュリティチェックも、私を振るい落とすための無情な関門のように思えてしまった。
あまりの心細さと不安でガタガタ震えながら、それでもなんとか領事部まで辿り着くことができた。
ここでもやっぱり、わかりやすい手続きカウンターのようなものはない。