最後の陽が昇る日まで
第1話 夜に出会った輝き
いつの日だったか、私は太陽の照らす世界の下を歩くことを諦めた。
私の世界は、夜。
真っ暗な世界に光る月が私にとっては太陽代わり。
私が過ごす世界は”家の中”か”夜の外”
学校は行ったことがなくて、毎日家庭教師が家に来て教えてくれる。
何をするにも制限がかかってあまり自由の身ではない。
私は、日の光に長時間当たることのできない不治の病だ。
当たってしまうと、体の中で癌の成分に変わってしまい、皮膚癌などを発症してしまうらしい。
病名が分かったのは、新生児の時にひなたぼっこするために母親と外に出たときだった。
やけどみたいになって、病院に運ばれ検査して判明した。
そして、この病気にかかってしまった人は、20歳までは生きることができない。
それから、今まで、私は明るい外の世界に出たことはなかった。
不満はない。だって仕方が無いことだから。
外に出て、癌に何てなりたくなかったから。
太陽にあこがれはあるけれど、焦がれるほどではなかった。
私の世界には、両親と数えるほどの人しかいない。
同年代の人は知らないし、友人なんてもっての外だった。
たまに、日中カーテンの隙間から楽しそうに歩いている同じ年くらいの女の子達を見ると、羨ましく思うときもある。
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