最後の陽が昇る日まで



思わず唸ってしまうと、梶が見かねて案を出してくれる。


「では、今日は外出でもしますか?」
「え?」
「今の時間であれば、店もある程度は開いていますし」


部屋に掛かっている時計を見ると、今の時間は夜の7時。
確かに、遅い時間ではない。


「どうされますか?」
「うん、出かける」


久し振りにショッピングでもしてみたい。
書店にも行きたいし、わたしの中でスケジュールが決まった。


「では、準備しますので、お嬢様もお着替えを」
「はーい」


ベッドから抜け出して、クローゼットに向かう。


「あ、食事を取られてから出ますよね?」
「え?」


部屋を出る前に梶に言われる。
ご飯を食べることをすっかり忘れてしまっていた。
頭の中はすでに外出する方になっていたから。
わたしの思考を読み取ったのか、梶は小さく笑う。


「車の中で食べられるようにサンドイッチにでもしてもらいましょう」
「ありがとう!」


流石、ずっとわたしの側に着いてくれている人なだけある。
梶が出て行って、わたしは身支度を始める。
久し振りに外に出るから、ちょっとおしゃれしてみようか。
たくさんある服の中からワンピースを選んで着る。
軽く化粧なんかしてみて、姿見でおかしくないかチェックする。


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