最後の陽が昇る日まで



この手の話をすると、皆咎めてくる。
まあ、気持ちが良い話ではないけれど、本当の事なんだから嘘をついたって仕方がない。
わたしの寿命が短いことなんてもう家族皆が知っていることなんだから。


「本当の事じゃない」
「いいえ。言霊と言います。反対の言葉を言えば、それはきっと力となる」
「・・・そうね」


そんな、反対の言葉を言って寿命が長くなるなら皆長い命だと言っているよ。
心の中で反論して、でもこれ以上言うと空気がさらに悪くなるだろうから、胸の中にとどめるだけにした。


「ごめんなさい、次、行こう」
「・・・はい」


店を出て、歩く。
なんだか一気に買い物意欲を削がれてしまった。
どこかで休憩したいと思ったわたしは、梶に喉が渇いたと言う。


「飲み物買って休憩したい」
「では、近くのカフェにでも?」
「そうね」


丁度、目先にカフェが見えたので、そこに入ることに決めた。
ドリンクを頼んで、空いている席に座る。
いつもの要領で、隣に立とうとした梶に、目立つから座るように促し、甘いカフェモカで喉を潤した。


「おいし、」
「それは良かったです。この後、また見ますか?」
「あー・・・もう良いかな。すこし疲れてしまったし・・・」
「では、車に戻りますか」
「そうね」


ふぅ、と息を吐いて、休憩をした後、わたし達は、車に戻ることにした。


駐車場に戻り、梶がわたしに車を回してくるから待つように言われた。
一緒に行くと言ったけれど、これ以上歩かず待っていて欲しいと言われ、わたしは言われたとおりにすることにした。


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