最後の陽が昇る日まで
夜でも分かる輝く銀髪。
そして、モデルのように整った容貌。
数日前に家の前にいたあの人だった。
相手も私のことに気づいたみたいだった。
「お前、なんでここに・・・」
「?千景知り合い?」
「心晴ちゃんは、お迎えを待っているんだよね?俺たちはそれまでの話し相手」
ジッと千景に見下ろされる。
穴が開いてしまいそうな位見つめられて、なんだか身を縮ませてしまう。
「ちょ、千景。心晴ちゃんは無害な女の子なんだから!そんな睨まないであげてよ」
「・・・」
千景は、劉生の言葉を無視して、自分のズボンのポケットに手を突っ込んだかと思うと、何かを取り出した。
「ん」
「え?」
差し出された物を見ると、それは私が渡したハンカチだった。
「返す」
「あ・・・そうですか」
「助かった」
彼の手から私の所に戻ってくる。
「え?千景なんで?」
「この前、怪我したとき借りた」
「そーなんだ!」
もう返ってこない物と思っていたハンカチが手元にあると、なんだか不思議な感覚だった。
私は、ジッと千景を見上げる。
綺麗な顔には、怪我なんて一つも残っていなかった。
「怪我、良くなって良かったですね」
「あ?あぁ・・・」
「千景さん、でしたっけ。ハンカチも・・・わざわざありがとうございます」
「千景」
「え?」
「さん付け、しなくていい。千景でいい」
そう彼が言うと、周りの二人が驚いたような表情を見せる。