幼なじみのやめ方
「あ、そうだ。唯さ、今月の7日、俺の誕生日じゃん?」

キッチンで食器を洗いながら諒が唯に話しかける。

「うん、そうだね」

目玉焼きにマヨネーズをかけながら唯が返事をする。

その顔は赤く火照っているが諒がいるキッチンからは見えない。

「その日、唯の一日俺にちょうだい」

「え?」

「誕生日プレゼントってことで」

そう言って諒はニヤリと笑った。

唯はぷいっと顔を背けて言った。

「嫌だ、会社あるじゃん」

カレンダーを見ると今月の7日は火曜日。

一日、と言っても半分以上は会社で潰れてしまう。

半日一緒に居るのが誕生日プレゼントなんて、そんなの会社あとで飲むビールと変わらない。
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