幼なじみのやめ方
第三章 間違いなんかじゃない

*side 唯

「唯、唯、起きろ」

誰かに優しく名前を呼ばれて、眩しく差し込む光の中、ゆっくりと目を開ける。

目の前には、困ったような顔をした諒が私を揺すっている。

……あぁ、そうか。昨日から諒の家に住んでるんだっけ。

理解すると、むくりと上体を起こしてあくびをする。

まだ眠いなぁ。

「唯、起きるの遅すぎ。朝食作っといてやったから、着替えて早く食べろ」

諒は私の頭にポン、と手を置いてそう言うと、部屋を去っていく。

マンションなのに部屋が3つあるとか、一人暮らし用の家じゃないよな、ここ。

そんなどうでもいいことを思いながら、スーツに着替えてリビングに移動する。
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