幼なじみのやめ方
「おい、唯。着いたぞ」

諒の声と背中の柔らかい感覚でベッドに下ろされたのだと分かる。

「ふぅ……」

諒は疲れたようにベッドに座ると髪をかきあげている。

なんだか色っぽい諒の姿に、不安になる。

私の知らない間にモテていた諒は私の知っている諒ではない気がして。

幼なじみでありながらも、諒は私をどんどん抜かしていって、私だけが何も変わらないまま生きていくのじゃないかと。

「諒……、私達ずっと幼なじみだよね?」

諒のスーツを掴んで聞く。

諒がこのまま私に呆れて置いていかれるような気がする。

いつのまにか諒だけが大人になっていたんだ。
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