幼なじみのやめ方
昼休みになり、私は勢いよくデスクを立ち上がると財布を持って会社を飛び出す。

記憶を辿りに走っていくと、昨日と同じ喫茶店を見つける。

「あった……」

息を切らしながら店の前まで歩く。

ドアに手を掛けて、希勇が居ることを期待しながらドアを開ける。

鈴の音がして、ドアが開いたと同時に窓際の席を見る。

昨日と同じ場所に―――――――希勇は居た。

「いらっしゃいませ。お席にご案内します」

マスターが案内しようしてくれるのを制して、迷いなく希勇の元へと向かう。

「よ、希勇」

私が声をかけると、希勇はパッと顔をあげた。
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