幼なじみのやめ方
「佐藤!また来たんだ!」

希勇は顔を輝かせて嬉しそうに言う。

そんな顔するの、本当やめてほしい。期待してしまう。

「…希勇こそ、今日も居るんだね。もしかして、毎日いるの?」

言いながら希勇の前の席へと座る。

希勇はパタリ、と本を閉じる。

「うん、ここ俺が気に入ってる場所だから」

落ち着いた雰囲気の店内を見渡して納得する。

学生で騒がしいスタバよりもこっちの方が好きだな、なんて思う。

「今日はスーツなんだ」

希勇が私の服装を指差して言った。

昨日の私が私服だったから、不思議に思ったのだろう。
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