幼なじみのやめ方
「うん。今日は会社だから。昨日は休みだったんだ」

話していると、コーヒーが届いた。

昨日と全く同じコーヒーだ。

「なんだ。俺の仲間かと思ったのに」

希勇が拗ねたように言った。

私は首を捻る。

すると、希勇はニヤリと笑って言った。

「実は俺、無職なの」

突然のカミングアウトに固まる。

いや、私服で知ってる限り二日連続でこの店にいる時点でうすうすそうじゃないか、と思ったけれど。

「就職しなきゃいけないんだって分かってるんだけど」

希勇は疲れたように息を吐いて言った。

まさか、高校ぶりにあった初恋の人が無職とは想像もしていなかった。
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