幼なじみのやめ方
どうか、希勇が就職できなくて、彼女と別れますように―――――――――って。

「じゃあな、佐藤」

私がそんなことを願っているとも知らずに、希勇は無邪気に手を振ってくる。

「じゃあね」

私も手を振り返すと、出口へと向かう。

ドアを開けて外に出ようとした直前に、希勇が言った。

「あ、佐藤、また此処で飲もうな!今度は、俺の彼女と諒も一緒にさ!」

諒と会ったら、多分希勇殺されちゃうよ。

そう言ってやろうかと思ったけれど、そんな気力もなく、頷くだけで店の外へ出る。

裏路地を抜けて、大通りへ出る。

「期待させるな、馬鹿」
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