幼なじみのやめ方
呟いて、私は会社ではなく、諒の家へと帰った。












「ただいまー」

玄関の開く音と、諒の声が同時に聞こえる。

瞬時に、布団で身を隠す。

「何やってんの、唯」

呆れたような声が部屋の入口から聞こえてくる。

私は返事をしないまま、寝返りを打つ。

「唯、なんか言えよ」

スタスタと諒が此方に歩いてくる音がして、のしっと体に重いものが乗っかる。

「諒、重い」

「お前が出てくるまでこうしてる」

そう言いながらすぐ退くだろう。って思ったのに。

5分経っても、10分経っても、諒はいつまで経っても退かない。
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