幼なじみのやめ方
「そっか」

どんな感情でそう言ってるのか分からない、何とも言えないトーンだった。

諒の手を握りかえして、私が聞く。

「私が失恋して、嬉しいとか思ってる…?」

ここで諒が嬉しいって言ってくれたら私は、芽生え始めた感情に気づくことなど無かっただろうに――。

諒は少し考えた後に小さく首を横に振る。

「これで唯がアイツを諦めるなら嬉しいけど、まだ好きなら、俺は辛い」

諒が、辛い?

意味不明な言葉に首を捻る。

「どういうこと?」

「唯が悲しいなら、俺は悲しいし、唯が嬉しいなら、俺は嬉しい。簡単な事だよ。好きな人と感情を共有したいんだ」
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