幼なじみのやめ方
玄関先から唯にそう言ったのに返事がない。

「唯、聞いてる?」

二回目も応答なし。

ヤベー。もっと嫌われたかも。

何で俺の恋ってこうも上手く行かないんだよ?

ため息をついて家を後にする。

最近は唯と一緒に会社まで来ていたけど今日は一人。

唯が俺の家にすむ前はそれが当たり前だったのになんだか寂しい。

――――なんて、口が裂けても唯には言えないけど。

オフィスに入ると、何人かの社員はもう来ていて、各自仕事に取りかかっている。

俺は大体その日のうちに仕事を終わらせてしまうタイプで、いつもより早く会社に来ることが滅多になく、感心してしまう。
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