幼なじみのやめ方
――――と言っても、俺がなるべく早く仕事を終わらせるのは唯に飲みに誘われたときに断らないようにするためなんだけど。

自分のデスクに座って残ってしまった仕事に取りかかる。

なるべく唯が来る前には終わらせたい、と思ったのにフッと目の前に影が落ちる。

何だ、と思って顔をあげると、岩長がニコニコしながら目の前に立っていた。

「私に何か用ですか?岩長さん」

会社用の爽やかなスマイルで対応する。

岩長は若干耳にさわる猫撫声で俺に話しかけた。

「いえー、今日は佐藤さんが一緒じゃ無いんだー、と、思いましてー」

語尾を延ばすしゃべり方にいらっとする。
< 89 / 170 >

この作品をシェア

pagetop