幼なじみのやめ方
ボイン、とわざとらしく胸を揺らす岩長。

俺は岩長に気づかれないようにそっと鼻で嗤う。

ハッ!俺が色気仕掛けで落ちると思ったら大間違いだ!

「いいえ、大丈夫です。片想いも、幼なじみの関係のままにも、慣れてますから」

ボロを出さないように落ち着いて言う。

ここで取り乱して岩長に弱味を握られたらたまったものじゃない。

岩長は思いっきり不機嫌そうな顔をすると、
「私、堀合部長ってもっとスマートな恋愛できる人だと思ってました」って言ってデスクから去っていく。

俺は表面上「すいません」と謝りながら内心、「悪かったな、お前の理想と違って!」と毒づく。
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