エターナルリング
会社の人間の声が遠くから聞こえ、お互いにハッとし、

『あかね、待ってて。』

そう言って、自分の荷物とあかねの荷物を持って飲み会の席を後にした。

タクシーの中でも、同期以上の距離でぴったりくっついてくる積極的なあかねにドキドキしながらも冷静にタクシーに行き先を伝えた。

初めての夜は大切にしたい、そんな気持ちからタクシーに伝えた行き先は、この辺でリッチと有名なシティホテルだ。

タクシーから降り、部屋の前まで来ると躊躇した。

ここまで来て、男性として機能しない自分をどう思うだろうかと考えたら自分が情けなくなった。

しかし、その戸惑いが伝わったのか、あかねが部屋の鍵を開けて招き入れ、部屋に入った瞬間に、あかねに壁ドンされ“チュッ”と軽くキスをされた。

身長差で上を向いていたあかねの顔が、色っぽくて、暴走しないか頭の中で格闘し、
特別な夜にしたくて、段取りもあったはずなのに、今の自分には
-あかねを抱きたい-その一心だった。
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