エターナルリング
次の日の朝、かなり動揺してしまった。

朝、好きな女が隣で裸で寝てるシチュエーションが初めてで、内心嬉しいやら戸惑いやらが思考回路をショートさせる。

もう少し段取りよく、スマートに出来たのではないか。
だから、あかねが起きたとき、あんな言葉しか出なかった。

『ごめん、俺、どうかしてたわ。』

でも決して抱いたことに対しての謝罪ではない。

気持ちを伝えてから、抱くべきだった後悔からくる言葉だったのだが、その言葉をあかねがどう受け止めたか気付いたのは、シャワーから戻ってきて姿が消えていた時だった。

*****
「結城。」

営業の階の休憩場でコーヒーを飲みながらボーとしてると、この休憩所には滅多にこない人物がいた。

「夏川、コーヒーか?」

夏川亮太郎は、まぁなと言いながらコーヒーサーバーにカップをセットした。

夏川とは大学時代からの同級生で、かなり中が良い。

 自分の情けない病気の話をしたことはないが、おそらく気がついてるんじゃないかとも思っているし、俺がヘタレで女性とのつきあい方を知らないことも勘づいてると思う。
< 16 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop