大嫌いな君と再会したら…
「さっき、言ってたでしょ。
中学の時の初恋の子が忘れられないって。
だから、私にもちゃんと返事して
くれなかったんだよね。
でも、取り繕ってごまかすくらいなら、
正直に好きな子がいるって言って
ほしかった」

私は十年以上抱えていた心のわだかまりを吐き出した。

「有希… 」

一磨は呆れたように私の名を呼ぶ。

だから私は、つい、あの頃のように喧嘩腰で答えてしまう。

「何よ?」

「お前、鈍いにも程があるぞ」

「は!?
そんな事、ないわよ」

何言ってるのよ。失礼ね。

「あるよ。
今日も、本気で口説かれてるのに、
のほほんと酒飲んでるし。
その気がないなら、はっきり断れよ」

「何よ。遠藤くんなら、断る前に楠さんが
あしらってくれてるんだから、あれ以上
追い詰めなくてもいいでしょ」

なんでそんな事、一磨に言われなきゃいけないのよ。

「ちげーよ。
遠藤さんにかこつけて有希に迫ってんのは
楠さんだろ。
気づいてもいねぇのかよ」

は!? 楠さん?

「ないない。
あの人は、いつもふざけてるだけで、全然
本気じゃないから」

私は思わず笑ってしまった。
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